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目の前には大人たちがたくさん転がっていました。
ちが、にくが、ほねが、ないぞうが、たくさんたくさん転がっていました。
おとうさんがいます。おかあさんがいます。
おにいちゃんがいます。おねえちゃんがいます。
おじさんがいます。おばさんがいます。
おじいちゃんがいます。おばあちゃんがいます。
みんな死んでいます。
みんなみんな死んでいます。
みんなみんなみんな死んでいて、みんなみんなみんな首がありません。
なんだか恐くなってじぶんの首をさわってみます。
なんだか恐くなってじぶんの顔をさわってみます。
ちゃんとありました。
首も、顔も、ちゃんありました。
よかった、死んでない。
安心すると、とたんにひざがカクンとなってその場にすわってしまいました。
むねがドキドキして、息がくるしくて。
すわってみると、立っていたときよりも転がっているみんながはっきりみえます。
からだのあちこちについた切りきず。
にくがそがれてまるみえになったほね。
たたみにしみてパリパリになった黒っぽいち。
なんだかみんなが死んじゃったことをぐいぐいおしつけられてるようで、ちょっと悲しくなりました。
なんだかじぶんだけ生きているのが仲間はずれみたいで、ちょっと悲しくなりました。
ちょっとだけ悲しくて、
ちょっとだけ悲しくて、
ちょっとだけ悲しくて、
だからちょっとだけ泣こうとして、
「……あは」
――――いつの間にか、さわっていた顔はうれしそうに笑っていました。